18世紀のフォブシール。
彫られている紋章は家が特定できており、コンプトン家(Compton、ノーサンプトン)の紋章です。ノーサンプトン伯爵・侯爵を輩出している由緒ある家です。ビーコンのクレストに「NISI DOMINUS」の文字が彫られています。「NISI DOMINUS」をモットーとするコンプトン家はノーサンプトンだけでなくグロスターのハートベリーにもありますが、グロスターのコンプトン家は紋章が異なります。ノーサンプトンのコンプトン家のお城であったアシュビー城には「nisi dominus aedificaverit domum in vanum Laboraverunt qui aedificant eam」(主が家を建てなければ、それを建てる人々の苦労は無駄になるだけである)の文字が刻まれております。この文字は旧約聖書詩編第127編の言葉で、そこからモットーが来ていると思われます。
※またコンプトン家は「JE NE CHERCHE QU'UN」というモットーも使用しています。
形状は特に18世紀に流行した形状で,イギリスやフランス、神聖ローマ帝国など各地で流行したスクロールデザインのフォブシールです。
素材は鉄製もしくは鉄合金(スチール)製です。インタリオは深さがあり、迫力があります。ラッカー(恐らく亜麻仁油系)が施されており、その跡が見受けられます。
【参考文献】
・『A History of the County of Northampton』 Volume 4(Victoria County History, London, 1937)、(https://www.british-history.ac.uk/vch/northants/vol4/pp230-236)
・『The Heraldry of Worcestershire; Being a Roll of the Arms Borne by the Several Noble, Knightly, and Gentle Families which Have Had Property Or Residence in that County from the Earliest Period to the Present Time』(Henry Sydney Grazebrook 、1873)
・『Les Sceaux Empreintes du pouvoir』(Langlaude,2001)
年代/PERIOD | 1700年代末 |
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刻印 /MARK | なし |
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状態/CONDITION | 摘みの先端が擦れてしまっておりますが、それ以外は良好です |
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サイズ/SIZE | 面 縦 1.9cm 横1.7cm 高さ 3cm(ハンドル含む全体) |
<素材/<MATERIAL | 鉄もしくは鉄合金 |