19世紀フランスを代表する名工房カルディヤック。その創設者アントワーヌ=ヴィタル・カルディヤックのお品です。
ナポレオン政権が倒れたのち復興王政期の作品で、装飾も帝政様式ではなくルイ16世様式で作られた美しいナイフセットです。このナイフの素晴らしいところは、柄の装飾部が表と裏、左右とそれぞれ異なるデザインが施されているところです。表は胸像やパレット、花籠などをデザインし、裏側は鳥や楽器、側面は弓矢や工具などがデザインされています。恐らくこれはそれぞれのデザインがメタファーとなっているものと思われます(胸像・パレット=芸術、花籠・葡萄・スコップ=収穫、2匹の鳥・オリーブ=平和など)。
形状は1800年初頭に流行したまさにナイフ形のナイフで、チーズ(フロマージュ)やフルーツ用に使用されていたお品です。ハンドルは白蝶貝製。この時代に使用された白蝶貝はとても高品質で、美しい深みのある耀きを放ちます。
ハンドルの中央部には持ち主と考えられるモノグラムが彫られています(恐らくこの部分は鍍金ではなく金を使用している)。
大変珍しい12本セットで、箱も作りからすると当時のつくりでオリジナルの可能性が高い箱です(箱はお直し部分多数あり、また痛みあります)。
シルバー製(800/1000、ラファエルの頭の刻印)、全体にヴェルメイユ(鍍金)が施されています。
【カルディヤック/ Cardeilhac 】
1804年,Antoine-Vital Cardeilhacがパリに移住し制作を始めた。1823年の博覧会での受賞をはじめ、19世を通じて様々な賞を受賞し、1878年のパリ万博では6個の金賞を受賞するなど輝かしいこ功績を残し、ナポレオン3世にも収めた。1885年よりErnest Cradeilhacにより運営、アール・ヌーヴォー期はガラス工芸家などともコラボ作品を製造するなどしたが、1951年にクリストフルに買収された。
年代/PERIOD | 1819年〜1838年 |
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刻印 /MARK | ラファエルの刻印(フランス公的証明800/1000印)、工房の刻印、ギャランティーマーク |
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状態/CONDITION | 良好(白蝶貝に自然由来の傷や僅かなひびはございます。)、箱は痛み、修復ございます。 |
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サイズ/SIZE | 長さ 20.3cm |
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※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。