シレジア(&ドイツ)のガラス工房、ヨゼフィーネンヒュッテのグラスです。
Arthur Gerlachによって1890年にデザインされ、1915年頃まで製造されていたNo.1003のグラスです。18世紀のドイツ系のガラスに多くみられた装飾気泡を再現し、美しく仕上げたヨゼフィーネンヒュッテらしいお品です。縁には金彩が施されております。正面には注文主と考えられる王冠とモノグラムがエングレーヴィングにより彫られています。王冠はドイツ系における男爵家の王冠です。
参考文献&来歴 / Bibliography & Provenance
ヨゼフィーネンヒュッテ1900年のカタログに記載のモデル(カタログ自体は『JOSEPHINENHUTTE Jugendstil・Art Deco・Moderne』(Stefania Zelasko, Glasmuseum Passau,2009)P.92に掲載
歴史的背景 / Historical Background
19世紀後半に流行した歴史主義(Historismus)の流れによるもので、18世紀のドイツのグラス,特にローエンシュタインのグラスが参考となっていると考えられる。
【ヨゼフィーネンヒュッテ / Josephinenhutte】
1842年にシュレジエンの貴族であるシャフゴッチュ家によりシュライバーハウ(Schreiberhau、当時プロイセン領、現ポーランド)にて設立。ガラス工芸家のフランツ・ポールを工場長とし、1844年に既存のカールスタールヒュッテと統合、1873年ウィーン万博、1900年パリ万博にて金賞を受賞。1923年にピーターズドルフ(Petersdorf)のフリッツ・ヘッケルト(Fritz Heckert)とNeumann & Staebeと統合し、共同体「JO-HE-KY」となる。1925年にJosephinenhutte A.G.となる。第二次世界大戦後、もともとの工房があったポーランドと、ドイツへと移ったシャフゴッチュ家によりそれぞれにて活動されたが、双方はヨゼフィーネンヒュッテの名称使用でもめ、1958年に訴訟によりポーランドではユリア・ガラスヒュッテとせざるをえなくなった。2007年にポーランドの工場は閉鎖。ドイツの工場は1963年ビレロイ&ボッホに売却、1983年工場閉鎖となった。
年代/PERIOD | 1890年〜1915年頃 |
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刻印 /MARK | なし |
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状態/CONDITION | 良好(底に小傷あり) |
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サイズ/SIZE | 高さ 12cm 直径(上部) 6.2cm |
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※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。