1700年代前半のグラス。
メダリオン型のサンドイッチ(ガラスによる二重壁)を施した非常に珍しいグラスです。
サンドイッチガラス(Zwischengoldglas)の技術はボヘミアを中心に栄えました。二重のガラスの間に金彩などで装飾を施す技術で、古代ローマが起源です。バロック時代にその技術が再興されました。非常に難しい技術で、製造中に破損することもよくあり、それでも難しい技術のためそのまま販売されたほどです。
このグラスはあまりボヘミアらしさがなく、おそらくマインツ選帝侯のロール(Lohrer)にあった鏡ガラス工房にて作られたものと考えられます。この工房はフランスから鏡製造技術を取り入れて設立され(フランスはドリンキングガラスは発展していなかったが、鏡は優れた技術を持っていた)、そこでグラスも作るようになった工房で、ドイツでも18世紀を代表する工房の1つです。やはりそこでも緑のメダリオンによるサンドイッチを製造していました。
ハートと鳥をモチーフにした金彩で、裏側には緑色が使用されています。このグラスの場合は貼り付けた表面のガラスの裏側に金彩で描かれており、Verre eglomiseの手法がとられています。
形状はペデスタルステムの6サイド。内部は中空の古い作りです。
参考文献 Bibliography
『Form-und Sherzglaser Gerschliffene und geschnittene Glaser des 17. und 18. Jahrhunderts』(Mainfrankisches Museum Wurzburg,1992)
年代/PERIOD | 1720年代~40年代頃 |
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刻印 /MARK | なし |
状態/CONDITION | 良好(サンドイッチガラス部分は多少劣化ありますが、この部分は接着のため、必ず劣化が起こります) |
サイズ/SIZE | 高さ 14.4cm 直径6.5cm |
※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。