フランス最高峰の磁器工房であるセーヴル窯(sevres、セーブル)のカップ&ソーサー。
1772年ロココ期のお品。バロックから変わり、華やか優美な文化が誕生し、フランス宮廷文化と関係の深いセーヴルでもそのようなデザインが製造されるようになりました。こちらもそのような最中の優美なデザインとなっております。花のボーダーに、矢車菊が散らされています。何種類もの花をボーダーとして使用し、背景には非常に細やかなブルーのドットが描かれています。もちろん手彩であり、これほどの細やかさはさすがセーヴルというところです。矢車菊の色使いも三色華やかに用い、当時としてはとても斬新なデザインだったと思われます。18世紀セーブルの凄さの一つはデザイン性であり、それまでの磁器界になかったデザインを多様に取り入れたことです。そのオリジナリティが250年経った現在でも模倣され続けているのが良い例です。
こちらと同じデザインのインクウェルがヴェルサイユ宮殿に所蔵されており、それは商人Simon-Philippe Poirierがルイ15世の公妾デュ・バリー夫人に届けられております(所蔵番号 No.6203。それは1770年)。このカップ&ソーサーは1772年ですので、その注文とは異なりますが、関連性はある可能性がございます(このカップ&ソーサーとヴェルサイユ宮殿のものは同じペインターです)。
絵付師はJEAN-JACQUES PIERRE(1763年〜1800年まで絵付師として活動)です。
軟質磁器製。
来歴・参考文献 Provenance & Bibliography
・クリスティーズオークション、2007年に出品歴あり(ラベル現存)。
・ヴェルサイユ宮殿に同デザインのインクウェル所蔵(https://collections.chateauversailles.fr/#8d50a2fe-ef6a-4c46-a0be-a242156df8c1)
・クリスティーズオークションにて同デザイン・同じ絵付師の洗顔セットが出品(https://www.christies.com/lot/lot-pot-a-leau-tourne-son-couvercle-et-5667427/?from=searchresults&intObjectID=5667427&sid=d52f3aa1-a8f0-4fd4-bd87-c170a27ea2e3)
【セーヴル / Sevres】
1738年、デュボワ兄弟によりヴァンサンヌ窯が開かれる。これがセーヴル窯の前身である。1745年には「ザクセンと日本風」磁器製造の独占権を得る。1756年にポンパドール夫人の庇護の下、セーヴルへと移転した。もともとはマイセンを参考にしたが、一流の技術者たちにより瞬く間にヨーロッパでも随一の磁器ブランドとなった。ラピスラズリの色合いを再現した独特なブルーの色合いは他の追随を許さないほど美しいものである。18世紀のころは軟質磁器がほとんどであったが、1769年、リモージュにてカオリン発見、硬質磁器の製造に成功し、次第に硬質磁器へと移行された。ブロンニャールの時代には帝政様式の特に優れた製品を遺した。現在でも国家のために優れた作品を製造している。
年代/PERIOD | 1772年 |
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刻印 /MARK | あり、装飾サイン、陰刻あり |
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状態/CONDITION | 良好(金彩スレ多少あり)
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サイズ/SIZE | カップ高さ 5.6cm 直径 6.8cm ソーサー直径 13.8cm |
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