1800年初頭を代表する磁器工房ナスト(Nast)のカップ&ソーサー。
カップには木に巻き付くアイビーとともに「je meurs ou je m'attache」(私はしがみつくか、死ぬか)という文字があり、ソーサーにはリボンを結ぶ鳥たちとともに「l’eloignement le resserre(t)」(距離を縮める)という文字が描かれています。双方ともに愛情や友情、もしくは哀悼などの意味を持たせたデザインとなっております。1800年初頭はジュエリーに代表されるように、センチメンタルを工芸品にも取り入れることが流行しました。
帝政期のスタイルで、絵はすべて手書きで、金彩も美しい色合いです。
【ナスト / Nast】
帝政期のパリを代表する磁器工房。1780年にルメール(Lemaire)がポパンクール通りに設立された工房を1783年にジャン・エルマン・ナスト(Jean Népomucène Hermann Nast)が買収し活動を始める。1789年にアマンディエ通りに工場を移した。金彩の新しい技術やクロム元素を発見したルイ=ニコラ・ヴォークランと協力し、クロムグリーンを作り出したり、ルイ・ピエール・シルト(Louis Pierre Schilt)といった優れた画家を登用するなど、頭角を現し、息子たちも工房に入り活躍(1817年にジャンは死去、息子たちが引き継いだ)。1806年にはアメリカのホワイトハウスにも納めた。1819年のパリ産業博覧会で金メダルを受賞、そのとき訪れたルイ18世に称賛された。その生産は単なる食器にとどまらず、フィルターコーヒーメーカーなども製造した。1835年工場閉鎖。
参考文献 Bibliography
・『Faience et Porcelaine de paris XVIIIe - XIXe siecles』(Edition Faton、1995)
・大英博物館HP(https://www.britishmuseum.org/collection/term/BIOG75472)
年代/PERIOD | 1810年〜20年代頃 |
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刻印 /MARK | NAST |
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状態/CONDITION | 良好(ソーサー金彩スレ多少あり) |
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サイズ/SIZE | カップ 直径6.1cm(ハンドル含まず) 高さ6.1cm ソーサー直径 13.2cm |
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