オールドバカラのグラス。
バカラとしては非常に珍しい装飾のグラス。正式名称はForme oeuf Dessin 5576 (形状)、Gravure paquerettes et muguets Dessin 5683(装飾)です。
スズランとヒナギクをデザインしたこのグラスの珍しいところは、エングレーヴィングとエッチングを併用した装飾となっているところです。スズランや一部の葉の模様はエングレーヴィング、その他はエッチングによって製造されています。エングレーヴィングは基本的に手間のかかる技術であり、簡単に量産化が可能なエッチングの台頭により、バカラではこの手のエングレーヴィング装飾は一般製品に使用されなくなっていきました。その過渡期を表すような珍しいデザインです。細やかなデザインの部分はエッチングで仕上げ、メインの花をエングレーヴィングで仕上げることで、デザイン的も凝り、かつ大胆さを持った装飾に仕上がっています。
ウォーター用(No.2,、上から2番目に大きなサイズでワインサイズより大きなサイズ)のサイズです。
1893年バカラ公式カタログ掲載(その後のカタログには未掲載)。
【バカラ / BACCARAT】
フランスを代表するクリスタルガラスメーカーで、世界的な人気を現在も誇る。 1763年、フランス国王ルイ十五世はロレーヌ地方にガラス工場を設立する許可を与えられたのが始まりである。当初は設立者の名前から「ルノー・ガラス工場」という名称だったが、3年後に「バカラ・ガラス工場」と改名された。その後は買収や倒産などを繰り返すものの工場は続き、次第に発展していった。1855年のパリ万国博覧会では金賞、1867年の同博覧会ではグランプリを獲得するなどその地位を確立していった。バカラはパリ商法登録商標の第一号を1860年に取得している。バカラの作品はフランス国王を始め、世界の皇帝や皇室などに愛された。現在でもその人気は衰えることなく続いている。
年代/PERIOD | 1890年代頃 |
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刻印 /MARK | なし(1936年以前のため) |
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状態/CONDITION | 良好 |
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サイズ/SIZE | 高さ 16.1cm 直径 7.1cm |
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※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。
オールドバカラのグラス。とても珍しいモデルであり、装飾方法もバカラとしては稀な装飾方法です。
1893年のカタログに掲載されており、それ以降のカタログに掲載されていないことから、1890年代で製造は中止になったモデルと考えられます。ウォーター用(No.2)とマデラワイン(No.5)のサイズが入荷しております。写真左側がウォーター用です。