ボヘミアを代表する工房ハラフのアール・ヌーヴォー期グラスです。
ボヘミアン・ガラスの歴史を牽引してきたハラフ(ハラホフ)・ガラス工場によるお品。
モーゼルでも似たような作品は製造していますが、モーゼルよりも繊細でデザイン製に優れています。ボウル部分にはアンダーレイにより紫色のガラスが入れられ、グラデーションの美しい色合いです。
エングレーヴィング装飾によりアイリスの花がデザインされています。表現力が豊かでアール・ヌーヴォーを体現し、下部に至るまで装飾されています。フット部分には金彩で装飾が施されています。
ハラフの名は日本ではほとんど知られていませんが、美術館などのボヘミアガラス展などで展示されるボヘミアガラスの多くはこのハラフによる作品です。様々な作品を制作していましたが、サインを入れないことがほとんどであるため、この花瓶のように間違いなくハラフと呼べるお品は非常に少ないです。
『FROM NEUWELT TO THE WHOLE WORLD 300 YEARS OF HARRACH GLASS』P.331に類似デザインの花瓶、P.351に同デザイン(金彩なし)のシャンパングラス掲載。
【ハラフ・ガラス工場 / Graflich Harrach'sche glasfabrik】
現在まで続く世界でも古いガラス工場の一つで、19世紀のボヘミアガラスを代表するメーカーである。ボヘミア北部でもともと広大な山脈と森林があり、ハラホフ(Harrachov)にいくつかの小さなガラス工房が存在し、それを領主であったオーストリア貴族のアロイ・フォン・ハラハ(Aloys Thomas Raimund Graf von Harrach)が1712年に所有した。優れた技術を有し、ヨーロッパ各国へ輸出され、Dominik Biemannといったボヘミアの最高の技術者たちがそこで働き、その名を世界中に広めた。ジャポニスムやアール・ヌーヴォー期にはその時代の影響を受けた優れた製品を製造し、1900年パリ万博でも金メダルを受賞している。20世紀に入ると第一次世界大戦の影響や、ハラハ家の弱体化の影響で衰退していったが、それでも1925年パリ万博ではグランプリを受賞した。
年代 | 1900年頃 |
---|
刻印 | D267 |
---|
状態 | 良好 |
---|
サイズ | 高さ 16.2cm 直径 7.2cm |
---|
※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。