18世紀、ボヘミアンガラスのケグ(取っ手付き樽型カップ)です。
18世紀後半のオパールガラスでできたお品です(オパーリンガラスやミルクガラスとも呼ばれますがその定義は国や文献によってまちまちです)。
18世紀、ボヘミアガラスは盛期を迎え、ヨーロッパ随一のガラス産地として栄えました。そして同時期、日本や中国からもたらされた白磁がヨーロッパ各地で流行し、白磁の開発に成功、各地で生産が広まり、一機に流行していきました。磁器の生産ができなかったボヘミアでは、ガラスで流行の白磁に似せた乳白色のガラスであるオパールガラスの生産に力を入れ始めました。独特な白色は牛骨の骨灰を入れることで色を出しました。特に生産をしていたのは貴族ハラホフ(ハラフ)家領地のノヴィ・スヴィエットの工場(ハラフ・ガラス工場)で1764年から18世紀末まで製造されている記録が残されています。それがボヘミアの他工房、ロシアやウィーン、トルコなどにも広まっていきました。
こちらのお品も恐らくハラフ、もしくはその周辺のボヘミアの工房で製造されたお品です。
この時代のオパールガラスの特徴はマイセンなどの磁器をガラスで表現することをめざしているため、装飾も磁器風の絵付けが多いところにあります。こちらのお品はガーランドと湖水風景が描かれています。
この18世紀のオパールガラスはガラスの歴史の中でも重要な作品群の1つです。
ケグ(Keg)もしくは「Wermuthstunnel」とよばれ、ベルモットを飲むためのグラスといわれています。
『From Neuweit to the whole world 300 years of Harrch glass』P.62同種品掲載(Jan Mergl、2012)
『古都に咲いた花 ボヘミアンガラス 600年の輝き』P.84〜87同種品掲載(日本テレビ放送網、1994)
『Glas 1500-HEUTE』P.116〜119同種品掲載(Kovachek,1993)
年代 | 1780年代頃 |
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刻印 | なし |
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状態 | 良好(経年の小傷、金彩などは擦れがあります) |
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サイズ | 高さ 6.9cm 直径 4.6cm |
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※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。
18世紀のオパールガラス。磁器に似せた色合いで白濁ですが少し透明感があるのが特徴です。美術館などでボヘミアガラスの特別展などがあれば、18世紀のオパールガラスは定番の出品物の1つです。
絵付けは磁器の絵付けをイメージしています。この時代特有の手法です。当時の独特な絵付けの色合いは磁器にも共通します。
よく製造していたのは当時からずっとボヘミアを代表するガラス工房であるハラフ(ハラホフ)ガラス工場。ガラス史に残る名品をずっと作り続けていた工房です。