イギリス18世紀の純銀ティースプーンです。
ピクチャーバック(ファンシーバック)といわれるボウル部分の裏側にデザインを施す1750年頃から1780年頃までにみられる装飾が施されたティースプーンです。
ロココのデザインや、船や平和など当時の時代背景を映し出したデザインが特徴的で様々なデザインがあります。
こちらは"Dove with olive branch"と呼ばれるオリーブの枝をくわえた鳩がデザインされています。
このデザインは平和の象徴のデザインで、もともとは旧約聖書のノアの方舟からきています。
ノアの方舟とは、神が堕落した人間を洪水で滅ぼす話で、神より正しい人とされたノアは洪水が起こることを前もって知らされたため、箱舟を作り家族とともに生き延びました。一方箱舟のない人々は洪水にのまれ滅ぼされてしまいました。その後、箱舟に乗っているノアは洪水が収まったかどうかを確かめるため鳩を放しました。そしてその鳩はオリーブの葉を加えて戻ってきました(洪水が引き始めたため陸地があることを確認できた)。そのため、また平和が訪れたという話です。
当時は七年戦争など植民地戦争が活発化しており、そういった荒廃した世界を嘆いて平和のメッセージが込められたものと思われます。しかし、その後もアメリカ独立戦争やナポレオン戦争などイギリスでは戦争が続いてしまいました。
純銀製(925/1000、スターリングシルバー)で、メーカーはThomas Eustace & George Smith3世です(T.E.G.Sの刻印)。1768年から1771年頃に活動していた工房です。また、この時代のティースプーンはデイトレター(年代別刻印)が押されないのが通例です。ピクチャバックは1900年前後に復刻で制作されていますが、こちらはオリジナルの18世紀の作品になります。
※ボウル部分は映り込みがあるせいで、写真だとわからずらいですが、一番最後の画像が実物のピクチャーバックの状態に近いです。
年代 | 1768年~1771年頃 |
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刻印 | スターリングシルバーの刻印、メーカーマーク |
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状態 | 良好(経年のスレはあります) |
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サイズ | 長さ 11.3㎝ |
重量 | 約9.3g |
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※状態についてはコンディション(商品状態)についてをご覧ください。